「根抵当権(ねていとうけん)」は、日本の法律用語であり、不動産に設定される特定の抵当権の一つを指します。一般的には、単に「根抵当」とも呼ばれることがあります。根抵当権は、定められる「極度額(上限金額)」と「債権の範囲」の範囲内であれば、何度でも借り入れ、返済を繰り返すことができます。
一般的な抵当権の設定手続きと同様に、根抵当権も登記手続きを経て成立します。不動産を担保に融資を受ける際には、金融機関が根抵当権を設定し、借り手が担保として提供する不動産にその担保権利を持つことになります。
根抵当権と抵当権には主に以下のような違いがあります。
・債権の種類(範囲)を設定する
~抵当権は、1つの債権に対して1つの抵当権を設定しますが、根抵当権の対象となる債権は、債務者と根抵当権者(債権者)との間で債権の種類を定めます。
たとえば、債権の種類を「売買取引における手形、小切手にかかる債権」と設定した場合には、売主と買主の手形と小切手にかかる債権が根抵当権の担保の範囲となります。
また、担保となる不動産の評価額から借り入れの上限額となる「極度額」を設定します。極度額を設定することで、根抵当権者と定めた上限額までは自由に借り入れすることができるということです。
・何度でも借り入れできる
~根抵当権は、設定した範囲内であれば何度でも借り入れできるという特徴があります。再度、融資を受ける際に手続きや費用が必要になる抵当権に対し、根抵当権にはその必要がないため、繰り返し融資を受けたい人に適しているといえます。
・連帯債務者が認められない
~抵当権では連帯債務者が認められますが、根抵当権では認められません。連帯債務者とは、債務者と連名で契約し返済の義務を負う人のことです。抵当権は、設定した時点で対象となる債権が明確になります。一方、繰り返し借り入れができる根抵当権は、いくら借りるか、いつ返すかの決まりが明確でないため、連帯債務者を付けることは難しいでしょう。
・合意がないと消滅しない
~抵当権は、債務が完済した時点で抹消されますが、根抵当権は債務が完済されても抹消されません。根抵当権を抹消するには、債権者との合意が必要となります。債務が完了し、根抵当権を利用することがないと判断した場合には、早めに手続きを行いましょう。