共有名義の不動産とは、土地や建物を2人以上の複数人で所有している不動産を言います。
1つの不動産を複数人で所有している場合の各自の持分を「共有持分」(きょうゆうもちぶん)と言います。
では、どのようなときに、共有持分となるのでしょうか。
△共有名義(持分)になる場合の具体例
【複数人でお金を出し合って不動産を購入した場合】
不動産の名義を1人の名義(単有)にするか、2人以上の名義(共有)にするかは、当事者どうしで取り決めます。
1つの不動産を複数人がお金を出し合って購入した場合、お金を出した割合に応じて不動産の持分を取得する、といったケースが多いようです。
例えば、ある夫が4,000万円の自宅を2,000万円ずつ代金を負担した場合、各自の共有持分(名義)を1/2とする場合です。
【不動産を相続した場合】
相続が発生した場合、不動産などの財産は相続の対象となります。
相続が発生した場合の相続割合は、遺言や遺産分割協議によって様々ですが、ここでは分かりやすく法定相続した場合について解説します。
例えば、所有者Aが亡くなり、法定相続人が妻B、長男C、次男D、三男Eの場合、
それぞれの法定相続分は、妻(配偶者)につき1/2、子(直系卑属)につき(この場合は3人いるので)1/3となります。
以上の割合で不動産を法定相続した場合、妻は1/2の共有持分名義を、子は各自1/3の共有持分名義を相続によって取得することになります。
上記は、共有名義になるきっかけとしてよく見られるケースですが、その他にも、共有名義になるケースはたくさんあります。
△共有名義の不動産を担保にローンは組める?
では、共有名義の不動産を担保に、融資を受けることは可能なのでしょうか。
共有名義の不動産を担保にする方法として、主に次に述べる2パターンがあります。
【不動産全体を担保にする】
まずは、共有名義の不動産全体を担保にするパターンです。
この場合、他の共有者(共有持分権者ともいいます)の承諾が必要になります。
共有者全員の承諾があれば、不動産の全てを担保に入れ借入ができるので、金融機関のリスクは少なく、また不動産全体の評価で審査することができるため、比較的に融資は受けやすいといえます。
この場合、金融機関は共有者全員の持分に対して抵当権を設定します。
【自分の共有持分のみを担保にする】
次に、自分の共有名義(共有持分)のみを担保にする場合です。
他の共有者の承諾が得られない、他の共有者に内密に借入したいなど、理由は様々です。
例えば、ある不動産をABCで1/3ずつ共有しており、Aが融資を受けたいがBCの承諾が得られない場合、金融機関はAの1/3の共有持分に対してしか抵当権を設定できません。
そのため、金融機関によって審査基準は異なりますが、不動産も1/3の評価でしか見れず、また不動産の持分という流通性の低い条件になってしまうため、金融機関が貸金を回収できるリスクは非常に上がってしまいます。つまり、融資を受けられる可能性は低くなってしまうといことです。
△共有名義の不動産を担保にする際の注意点
共有名義不動産を担保にする際は、次のような点に注意が必要です。
【他の共有者も持分を失うリスクがある】
共有名義不動産全体を担保に融資を受けるときは、共有者全員が担保提供者になる必要があります。担保を提供するということは、もしお金を借りた人が返済できなくなったとき、担保がなくなってしまう可能性があるということです。
共有名義不動産全体を担保としているときは、1人がお金を返済しなかったために抵当権が実行され、共有者全員の持分が競売によってなくなってしまう可能性があります。
【借入額が少なくなる可能性がある】
共有持分を担保にするときは、借入額が少なくなる可能性があります。
先にも述べた通り、不動産の持分は、非常に流通性は低いものになります。おそらく一般の方で、不動産の持分のみを購入したいという方は、ほとんどいらっしゃらないのではないでしょうか。購入するのは、不動産業者や不動産に強い方などに限られてしまいます。
金融機関は、このように限られた不動産として担保評価をすることになるので、共有持分のみの担保提供では借入額が少なくなる可能性があるということです。
△共有持分のみを担保に審査を通しやすくする方法
以上のように、他の共有者の承諾を得て不動産全体を担保にする場合に比べ、共有持分のみを担保に借入をするためには、非常にハードルが高いことが分かりました。
では、共有持分のみを担保に審査を通しやすくする方法はあるのでしょうか?
【少しでも多くの共有持分を保有する】
共有持分のみを担保に借入する場合、自分の持分割合が融資額を左右します。
例えば、不動産を2人で共有している場合において、自分が9/10、もう一方が1/10だとすると、不動産の9/10というほとんどの割合を担保にできますので、融資を受けれる可能性は高くなります。
【1人でも多くの共有者の承諾を得る】
上記で述べた通り、担保提供できる持分割合は多ければ多いほど、融資を受けられる可能性は上がります。
例えば、ある不動産をABCで1/3ずつ共有しており、Aが融資を受けたい場合、Bの承諾は得られないがCの承諾を得られれば、Aは自分の共有持分1/3に加え、Cの共有持分1/3も担保提供でき、合わせて2/3の割合で融資を受けることが可能になります。
共有持分のみであっても、担保提供する持分割合が、不動産の過半数あれば融資を受けられる可能性もぐんと上がります。1人でも多くの共有者の承諾を取り、担保提供する持分割合を集めることも、融資を受けられる可能性を上げる重要なポイントになります。
【ノンバンク系の不動産担保ローンを申し込む】
共有持分のみの担保ですと、金融機関のリスクが高くなることが分かりました。
そのため、共有持分のみを担保にした融資を取り扱う銀行は、あまり多くないようです。
それに比べ、ノンバンク系のローン会社などは、比較的に審査条件も柔軟なため、共有持分名義のみの不動産担保ローンを取り扱っている会社もあるようです。
フィナンシャルエースの不動産担保ローンは、「共有持分名義のみを担保に借入をしたい」「共有者の家族に内密に借入をしたい」などのお悩みに、誠実にご対応いたします。
また、上記のような条件にてご融資した事例もございます。ぜひ一度ご相談くださいませ。