貸金業法とは?
貸金業法(かしきんぎょうほう)は、消費者向けに貸付を行う金融業者(貸金業者)に対する規制を定めた日本の法律です。この法律の主な目的は、消費者が過剰な借金を負わないようにするためのルールを設け、金融業者の適正な営業を確保することです。
主な目的と背景
- 消費者保護: 過剰な借入や高金利による負担を防ぐため、貸金業者に対して厳格な規制を課すことで消費者を保護します。
- 健全な金融市場の確保: 透明で公平な借入環境を作り、金融業者の健全な営業を促進します。
貸金業法の主な内容
- 総量規制
- 目的: 消費者が返済能力を超える借入をしてしまうのを防ぐために、借入可能額を収入の3分の1までに制限します。
- 適用範囲: 消費者向けの貸付(キャッシング、カードローンなど)に対して適用されます。
- 例外: 住宅ローンや事業資金など、目的が特定されている借入については規制外です。
- 金利の上限設定
- 目的: 高金利が消費者の生活に過度な負担をかけることを防ぐために、貸金業者が設定できる金利に上限を設けています。
- 上限金利:
- 10万円未満の貸付 → 年利20%
- 10万円以上100万円未満 → 年利18%
- 100万円以上 → 年利15%
- 広告規制
- 目的: 金融商品を広告する際には、消費者を誤解させないようにするため、正確で透明な情報提供が求められます。
- 例えば、広告に「簡単にお金が借りられる」といった過剰な表現や誤解を招く内容は禁止されます。
- 契約前の説明義務
- 目的: 消費者が契約内容を十分に理解した上で借入を行えるよう、契約前に必要な情報を提供する義務が貸金業者に課せられます。
- 具体的には、借入金額、返済額、金利、手数料などの詳細を明示する必要があります。
- 遅延損害金の上限
- 目的: 借り手が返済に遅れた際に過度な損害金を課さないように規制します。
- 上限: 遅延損害金は年率20%までに制限されます。
- 借入の再確認義務
- 目的: 消費者が無理な借入をしないよう、貸金業者には貸付前に返済能力を確認する義務が課されています。
- 強化された審査: 消費者が新たに借入をする場合、その前に既存の借入状況を確認し、返済能力をチェックすることが求められます。
貸金業法改正とは?
貸金業法改正は、消費者保護を強化することを目的として行われました。特に、過剰な借入を防ぐために、利用者の負担軽減を図るための措置が講じられています。以下は、主な改正点です。
1. 総量規制の強化
- 総量規制の目的: 消費者が返済能力を超える借入を行い、過剰な負担を負うことを防ぐために、年収の3分の1までという上限を設けています。
- 改正の内容:
- より多くの金融商品に対して規制が適用されるようになりました。
- 借り入れ可能な上限額が厳格に設定され、収入証明書の提出を求められる場合もあります。
2. 返済能力の確認の強化
- 借入審査の厳格化: 貸金業者は、融資を行う際に、借り手の返済能力をしっかりと確認する義務が強化されました。
- 返済比率の見直し: 年収に対する返済負担の比率が適正であるかをチェックし、過度な借入を防ぐ仕組みが強化されています。
3. 金利の上限設定
- 金利上限の改正: 貸金業者が設定できる金利の上限は引き続き、貸付額に応じた上限がありますが、業者が適切な金利設定を行うことが求められています。特に「グレーゾーン金利」の規制が強化されました。
4. 過剰貸付の防止
- 借入の再検討: 借入額が累積し過ぎている場合、貸金業者は再調査を実施し、過剰貸付を防止します。
- リボ払いの規制強化: リボ払いが普及する中で、リボ払いによる負担が膨らみやすいため、これに関する規制も強化されました。
5. 貸金業者の義務強化
- 適切な貸付条件の明示: 金融業者は、融資条件を明確に伝え、借り手がそれを理解した上で契約を結ぶことを求められます。例えば、金利、返済スケジュール、融資額などの明確化が求められています。
6. 過剰借入の防止策
- 一部の利用者に対するサービス制限: 利用者が既に過剰に借入している場合、追加の借入を制限する措置が導入されました。これにより、消費者の経済的な自立を促すことが目的です。
7. 返済支援措置
- 柔軟な返済方法の導入: 借り手が支払いに困った場合には、支払い計画の見直しや返済猶予を認める措置が強化され、消費者が返済をしやすくするための制度が導入されました。
まとめ
貸金業法の改正は、消費者の借入過多を防ぐために、融資を受ける際の審査基準や条件、金利の上限を厳格に設定し、消費者保護を強化する方向に進みました。これにより、無理な借入や過剰な金利負担を避け、健全な借り入れが促進されることを目指しています。